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いずれも。

あれもこれも、いずれも必然。

できるなら、生きてる限り毒をまきちらす害虫は駆除したい。

人生観 人生観-心の闇

早く帰ってアツい風呂に浸かりたい。

京都で紅葉を楽しんだ後、ボクらは奈良に戻って晩ごはんを済ませた。せっかく京都に行ったのに、なんで奈良で飯食ってんの?と言われそうだけど、歩きすぎてかなり疲れてたし、できるだけ早く家に帰りたかったのだ。まぁ、ボクら軟弱夫婦にはよくあることだった。

夜のバス停はあまりに寒く、酔いも一瞬にしてさめてしまった。やはり薄着しすぎたらしい。昼間は暖かくてちょうどよかったんだけどなー。ボクらの後ろには5~6人の外国人が何やら上機嫌で笑いながら列を作ってた。やけに「スネーク」と言いながら笑ってる。蛇のように列をつくれってことだろうか。

ようやくバスが到着して、列の横にいた車椅子の老婦人が運転手に向かって手を挙げた。それにしても寒すぎる。さっさと乗り込もう。早く家に帰ってアツい風呂に浸かりたい。だけど、ボクらのそんなささやかな願いは、ある男の登場によって阻まれることになった。

見苦しい酔っぱらいが車内の平穏を壊す。

「車椅子乗るんで席代わって下さい」運転手が先ほどの老婦人を乗せたあと、車椅子専用席に座っていた男に声をかけた。しかし、男は全く動こうとしない。運転手が少々語気を強めて、繰り返し男に声をかけると、ようやく男は手近な席へと移動した。男はなにかぶつぶつ言ってるようだったけど、さっきの外国人たちがずっとしゃべってるからよく聞こえなかった。

バスが走り出すと、男は大声でわめきはじめた。「こんなんありかよ。オレは寝てたのになんで起こされなアカンねん。なぁ、どう思うよ、なぁ!」声をかけられた隣の人は迷惑そうに身をよじってなにも答えなかった。そんなことは気にせず、男は大声で眠りを妨げられ、席を代わらされたことへの不満をぶちまけ続ける。

後部に座ってるボクからは顔が見えないけど、たぶん年齢は40~50代といったところだろう。いい年をしたおっさんがわめいてる様はあまりにも見苦しく迷惑極まりなかった。あぁ、早くバスを降りたい。たぶん、乗り合わせた誰もがそう思っていたに違いない。

さっそうとヒーローが現れた!

そこにヒーローが現れた。グレーのパーカーに白い帽子をかぶった若者が、すっと立ち上がり、男にむかってキツい口調で言い放った。「みんなが迷惑だ。その席が不満ならこっちへ座れ!」若者は自分が座っていた2人がけの席を空け、男に座るよう促した。たぶん外国人が乗ってることに配慮したのか、若者は英語でも男に何かを言い放っている。すげえ。ボクには真似できないし、貧弱な英語力では何を言ってるのかもわからねえ。

「いやいや兄ちゃんに何か言いたいわけじゃ・・・」「いいからこっちへ座れって!」そんなやりとりがあって、男はおとなしく若者が座っていた席へと腰を下ろした。ようやく車内は静かになって、外国人たちのおしゃべりだけが聞こえる平穏が訪れた。しかし、その平穏は長くは続かなかった。そのあとの何個目かのバス停でぞろぞろと人が降りていき、さっきのヒーローも降りて行ったのをみはからって、また男が立ち上がったのだ。

酔っぱらい男がパワーアップして復活した。

「オレは酔っ払って寝てただけやのに、起こされて席代わらされて、そんな仕打ちがあるか!」さっきよりも相当声のボリュームは上がっている。「おい、奈良交通電話したるからな。お前の名前、なんていうねん」とバスの前方に表示された名前を確認して「おい、◯◯さん、絶対電話したるからな!」と何回も繰り返した。「アイツに胸ぐら掴まれてオレは無理やり席を代わらされたんや。どうしてくれるねん」いや、彼は胸ぐらなんか掴んでなかっただろ。あぁ、それぐらいびびっちゃったってことか。

「オレはな、仕事で疲れてんねん。なんでこんな仕打ちされなアカンねん!」あのさー。ホントに仕事で大変な人は今、この瞬間だって仕事してるよ。今オマエが営業妨害してるバスの運転手さんだって仕事中なんだ。オマエは酒飲んで酔っ払ってる余裕あるんだろ?そう思うとふつふつと怒りがこみ上げてきた。早くアツい風呂に入りたいのに邪魔しやがって。せっかく京都で紅葉みて楽しかったのに思い出にドロを塗りやがって。もうちょっとでキレそうになっていたら、ボクより先に車椅子の初老の婦人がブチ切れた。

「なんでこんなクソババアのためにオレがこんな仕打ちを受けなアカンねん!」とか言ったらそりゃあ誰だってブチ切れるよな。すごい勢いで初老の婦人はまくし立てたけど、相手が非力だと見ると男はまったく動じなかった。と、今まで黙っていた特徴的なヘアスタイルの青年が「とにかくバスが動けないのは迷惑なんで早く降りてもらえませんか」と冷静に声を発した。酔っぱらいの男が運転手に絡んだから、バスはずっと停車したままなのだ。

そのあとも延々と男は運転手やら初老の婦人に悪態をついて「オレはそんなおとなしく引き下がる人間ちゃうからな!覚えとけよ!」みたいなことを言い放ってバスを降りていった。たぶん、10〜15分ぐらいはバスは停車してたんじゃないだろうか。今にして思えば、さっさと警察呼んだらよかったのかもしれない。ホントに「惡の華」の仲村佐和じゃなくても、あぁいうのをみると「クソムシが」と思わずにいられない。デスノートが手元にあったら、躊躇わず名前を書くだろう。なんでか知らないけど、名前名乗ってたしね。生きてるかぎり、この先何十年も毒をまきちらし続けるんだろうから、あんな害虫は駆除したほうがいい。

めちゃめちゃ危険思想だな。こういう思想がゆがんでふくらんでテロに発展したりするのかもしれない。ホントに駆除すべきなのは、あんな酔っぱらいよりもこうしてブログを書いてるボクなのかもしれない。それにしても、思い出しても腹が立ってしょうがない。まぁ、落ち着け。世の中にはこんなことより、もっと耐え難い理不尽が溢れてるじゃないか。美味しいプリンでも食べて忘れよう。

惡の華(1) (週刊少年マガジンコミックス)

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