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いずれも。

あれもこれも、いずれも必然。

【終わりのセラフ】なぜ、彼らは絶望に満ちた世界でひたすら「家族」を叫ぶのか?

マンガ・アニメ マンガ・アニメ-終わりのセラフ

誰もが「家族」を叫びすぎている。

終わりのセラフは相当おもしろい。アニメ第2期 名古屋決戦編があんな中途半端な状態で終わったのに第3期はないだろうと噂されてるけど、これから更に面白くなりそうなんだからなんとかしてくれよ。

こうなったら原作を読むしかない。ということでコミックス10冊を一気読みしてみたけど、アニメが原作を追い越してしまっていて気になる続きを見ることは叶わなかった。気長に原作を追いかけるしかなさそうだなー。

終わりのセラフを見ているとやたら気になるのが「家族」という言葉の登場頻度が高すぎることだ。あまりにも多すぎるだろうと思って興味本位で数えてみたら、コミックス10冊で114回も「家族」という言葉が出てきていた。結構がんばって数えたし。

ホームドラマや携帯電話のCMとかじゃないのにこの回数は驚異的と言えるんじゃないだろうか。絶望に覆われ荒廃した世界で、彼らが「家族」を叫ぶのはなぜだろう?そんなことが気になったので、ちょっと掘り下げてみることにする。

百夜優一郎(54回)

終わりのセラフ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

終わりのセラフ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

終わりのセラフの中では飛び抜けて、家族!家族!と言いまくってる主人公。両親に「悪魔の子」と言われて殺されかけ、その時点で家族というものを嫌悪しそうだけど、それよりも渇望のほうが勝ったのかな。何度も何度も仲間を家族と言い換えるシーンが出てくる。

俺は親に捨てられたから 家族ってどういうものかわかってないかもしれないんだけどさ……でも聞いていいかな 家族に裏切られたからって…裏切り返すものなのか?俺は違うと思ってる (中略)家族はずっと家族だよ(終わりのセラフ 6 第二十三夜話 帝鬼軍の野望)

「家族はずっと家族」ってなんのこっちゃと思ってしまうけど、家族の絆はそんなに脆いモノじゃないと言いたいんだろう。わからないのに信じたいんだなぁと思うと、それだけで切なくなってくる。優一郎にとって、守るべきものである「家族」の存在は生きる意味そのものだもんな。

百夜ミカエラ(13回)

終わりのセラフ 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)

終わりのセラフ 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)

僕は両親に虐待されたあげく 車から投げ捨てられてここへ保護されましたァ(終わりのセラフ 1 第一話 血脈のセカイ)

百夜孤児院にやってきて「家族なんてくだらない」と自分の身の上話をした優一郎に、ミカエラは満面の笑みを浮かべながらこんなことを言い放つ。ちょっとコワいというか、笑って話せるようなことじゃないだろう。ただ、はっきりとは言ってないけど「でも、今はこんな家族に囲まれて幸せだよ」というのがそのあとに続く言葉なんだろうな。

だからこそ、百夜孤児院が存在した意味を知ったミカエラは激しく人間を嫌悪するようになる。ってコレは激しくネタバレかなぁ。まぁ、知ってる人しかこんな長文読まないだろうからいいか。

一瀬グレン(12回)

終わりのセラフ 8 (ジャンプコミックスDIGITAL)

終わりのセラフ 8 (ジャンプコミックスDIGITAL)

グレンは「家族」と口にする回数がめちゃくちゃ多いわけじゃないけど、かなり印象的なシーンで声高に「家族」と叫んでいるのが目立つ。たとえば、黒鬼シリーズに挑戦して与一が鬼に取り込まれそうになり、なんとか戻ってきたときに言い放ったこの言葉。

ここにいるのが新しい家族だ おまえは今いる家族に命を懸けろ馬鹿が 過去には何もねぇぞ あるのは未来だけだ(終わりのセラフ 2 第七話 新しいカゾク)

あいかわらず口が悪すぎる。目の前で家族である姉を死なせてしまった与一を踏まえての発言だから、流れで「家族」という言葉を使っているとも言えるけど、「今ここにいる仲間は家族以上の存在だと思って命を懸けろ」という言い方も可能だろうし、やっぱり家族にこだわっている気がする。

それから、感覚的には完全に優一郎と同調してるとしか思えない発言もある。名古屋決戦に挑む前の海老名サービスエリアでの演説でのこの言葉だ。

きっと仲間が何人も死ぬ ここにいる仲間は全員家族だ なら俺たちは家族をこの任務でたくさん失うことになる(終わりのセラフ 7 第二十四話 月鬼のゴウレイ)

優一郎と同じように仲間をわざわざ「家族」と言い換えている。明らかにグレンにとって家族とは仲間以上の存在なんだとわかる。同じ7巻の中で優一郎に向かって「仲間と家族になってきたか?」とか問いかけるシーンもあるしなぁ。本当の家族の話はコミックス10冊を読んでも出てこないけど、グレンが家族にこだわる理由はなんだろう。16歳の頃を描いた小説を読めばわかるんだろうか。

柊シノア(9回)

終わりのセラフ 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)

終わりのセラフ 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)

私は柊家ですよ?家族っていうのがなんなのかもわからず育ちました(終わりのセラフ 5 第十八話 憑依するマヒル)

そりゃあんなにクセありまくりな家族に囲まれていたら「家族っていいな」なんて思えるハズがない。そんなシノアに同じく家族なんてよくわかってないはずの優一郎がなぜか「家族とは」と熱く語り、影響を与えちゃうんだからもうわけがわからない。

なぜ優一郎がそこまで家族にこだわるのか?をシノアははっきりわかってないハズだしなぁ。やっぱり惚れてるからこその影響力なのかな?って考えが浅いよな。浅はかすぎる。

君月士方(6回)

終わりのセラフ 7 (ジャンプコミックスDIGITAL)

終わりのセラフ 7 (ジャンプコミックスDIGITAL)

君月は病に蝕まれてる家族を抱えてる割には「家族」発言は少ない。でも、やけに印象に残ったひとことがある。

もういい 俺の中の家族の定義も同じだ(終わりのセラフ 6 第二十三夜話 帝鬼軍の野望)

家族の定義ときたか。こんなクール系の君月にこんなことを言わせてしまうから終わりのセラフはたまらない。でも、ホンモノの家族がいる君月が優一郎の言う家族の定義に同調できるのは何気にすごいことだろう。どうがんばっても、妹と仲間を同じ家族とは考えられそうにないけどなぁ。

答えなんか見つからなくても楽しい。

まだいくつか家族発言はあるけど、もう気が済んだのでこれぐらいでやめておく。シノア隊の中では意外なことに三宮三葉だけが1度も「家族」と言ってないんだよなぁ。クルル・ツェぺシですらミカエラとの会話の中で1回口に出しているのに。

3,000文字に迫る勢いでつらつら書きながら考えてみたけれど、けっきょく「彼らはなぜ、こんな荒廃した世界で家族を叫んでいるのか?」に対するはっきりした答えは見出だせなかった。でも、このムダすぎる行為すら楽しい。これからも家族なんて死語になってもおかしくないような絶望に満ちた世界で、家族の虚像を追い続けるキャラクターたちをほっこりしつつ追いかけていこう。

ちなみにどうでもいいことだけど、このエントリーだけで「家族」と54回も書いている。たぶんこのブログでは過去最多だろう。