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いずれも。

あれもこれも、いずれも必然。

いきなり辞めると言い出したパートさんを引き止めて1週間がすぎた。

2日で辞めちゃうなんてありえない。

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「辞めさせていただきたいです」

朝から話があると言われたとき、まさかとは思ったけど、うちの部署に新たに採用したパートのAさんは静かにそう言い放った。採用してから、まだ2日しか経ってないのになぜ?直接仕事を教える立場のボクの中には、一瞬のうちにフルスピードで「至らなかったかもしれないこと」が渦巻いた。

一気に説明しすぎても頭がついていかないだろうとさらりと説明して、とにかく手を動かしてもらうというやり方がマズかったんだろうか?どうしても忙しい状況だから、わからないことがあっても声をかけにくい雰囲気だったのかもしれない。それとも自分が気づいてないだけで、ボクの口臭がひどすぎて耐えられないのが理由だろうか。いや、それはないと信じたい。

話を聴いてみると、それらはどれも見当違いで、自分が想像していた仕事と期待されている仕事のギャップがあまりにも大きく、やっていける自信がないというのが辞めたい理由だとわかった。2日ぐらいで何もわかるわけない、と思ってしまうけれど、最初に上司が掲げた「やってほしい仕事のリスト」がAさんの気持ちを萎えさせるには十分すぎる力を持っていたらしい。いろいろ教えてもらって1ヶ月ぐらいで辞めてしまったら迷惑をかけてしまう。だからそのまえにと決意したとか。

もう少し知ってください!

そんな理由なら、とボクは口を開いた。

まだまだ目の前にある作業をこなしてもらうばかりで、ちゃんと説明もできてなくて、そのことで不安にさせてしまったならすみません。これから順を追って、その仕事は何のために必要で、どういう流れで行うのか?という詳しい説明をさせて頂こうと思ってました。もし「ボクらに迷惑がかかるかもしれない」というのが理由なら、もう少し続けてみてもらえませんか?せっかく何かの縁でこうして一緒に仕事をする機会を持てたわけですし、もう少し知って貰えたらと思うんです!

しまった。柄にもなく熱く語りすぎた。別にAさんのことはよく知らないし、こうやって引き止めることがお互いにとっていいことなのか確信なんか持てない。でも、何らかの事情があって職を求めているなら、ホントはそんな簡単に2日ぐらいで判断して次へ向かうようなことはしていられないはずだろう。もう少しお互いにとって良い結果になるよう努力したいじゃないか。

吉と出るか、凶と出るか。

これはエゴだろうか。猫の手も借りたい状況なのはたしかだし。ボクは心の底からお互いのためにと考えてるだろうか?そんな自問自答をしながらも、あれから一週間がすぎようとしているタイミングで、改めてAさんに仕事の感触を聞いてみた。

「やっと感覚が掴めてきました。あの(やってほしい仕事の)リストを見せられたときは圧倒されてしまって、とても自分にはムリだと引いてしまったんですが、なんとかやれそうです」

Aさんは笑顔でそう言った。やっぱりあのリストか。

「あのリストはもう忘れていいです。気がついたら、いつのまにかこれだけのことができていた、という感じでいいんですよ。様子見ながらやれそうかどうか見極めながら仕事を渡していくようにしますね」

やべ。上司がせこせこ作ってたリストを忘れていいとか全否定しちまった。まぁいいか。何の努力もできないまま可能性を消してしまうことに耐えられないというボクのこの性分が吉と出るか凶と出るかはまだわからないけど、今は信じて走ってみるとするか。